僕の愛機シリーズ#15 dbx162SL

木曜日, 4月 3rd, 2008 @ 21:12:13 | blog

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4月も3日になって、ようやく春が戻ってきたようだ。桜も、ほぼ満開。こんな日は、どっか遠出でもしてのんびりしたいのだが、ありがたい事に今日も仕事だ。

さて、本日は久しぶりの愛機シリーズ。今日のゲストは、最も古くからあり、今また流行の最前線にある機材であり、最もシンプルでありながら、同時に使いこなす事が困難な機材。

コンプ・リミッターだ。

こいつは一体何者かというと、その名の通りの働きをする。つまり、コンプレス(圧縮)して、リミッティング(制限)する。その昔、レコードをカッティングする際、レコードに入るように、ダイナミックレンジを抑制する為に生み出された機材だと思われる。(僕の推測)

つまり、レベルコントロールこそが、第一の効能なのだ。

実際、スタジオやPAにおいてのコンプリミッター の使い道というのは、

1. ボーカル、ベース、アコギ等のリミッターとして。

2. ドラムサウンドの引き締め及び、リミッティングとして。

3. 2MIXマスターリミッターとして。

おおまかに言うとこんなもんだ。しかも、機械とは面白いもんで、様々な副作用を伴っている。

例えば、レベルを揃えた上で、アタックを出したり。アタックを出した上で、音の余韻を引き締めたり、持ち上げたり、伸ばしたり、と、今や、一万円台で手軽に手に入るコンプですら、このような技を持つ。

がしかし、マスターリミッターはそうはいかない。なんといってもマスターというぐらいだ。下っ端ではいかんのだ。
僕も、随分、この分野は頭を痛めてきた。このスタジオがオープンしたのが15年前。マスターテープは、DATだった。
デジタルなので天井がある。それこそ0.1db単位でレベルを追いつめたものだ。今みたいに、L3に放り込んで終わり、と言うわけにはいかない。

当時は、心の底から思った。サウンドを極く自然にコンプレスした上で、マッシブに引き締めてくれ、そして、ぐいっと押し出した後、壁のようにびしっとレベルをストップしてくれるリミッターを俺にくれー!!!・・・っと。

それがあった。これ、dbx162SLだ。

見てくれ、この高級感溢れるルックス。分厚いアルミが惜しげも無く使われ、音がいいのが顔に現れている。ツマミの動きのスムースさなんざ、まさに快感ばい。
大体、ルックスがカッチョいーと、音もカッチョいーのが、この業界の常識だ。

ちょっと前まで、dbxのコンプはつまんなかった。ところがこいつの素晴らしさはどうだ。一体何がdbxに起こったのか?と思わせるほどだ。こいつは有る意味、これまで出会ったアナログコンプの中で、最も、うちに合うコンプだ。PAにも良し。レコーディングも、録りにも良し、ミックスにも良し、何といってもマスターリミッターとして、とっても良いのだ。つまり、一粒で、何度でも美味しいのだ。こんな機材こそ、貧乏な地方のスタジオにはありがたいのだ。

素晴らしいぞ!! dbx!!

コンプにおいて、安物と高級品との差は、音質が違う、というのは当然として、最も分かりやすい差は、安物は、コンプすると音が引っ込み遠のく。高級品は、ぐぐっと前に押しでてくる。

しかし、この効能は、基本的に、原音を損なわない事が原則である。その変化幅は、概ね、地味だ。

ところがコンプにはもう一つ、素晴らしい効能がある。通すことで変化するサウンド。あるいは、過剰に使用する事で、原形をとどめないぐらいに潰れていきながらも、何故か活き活きとするサウンド。

つまり、音をより積極的に、アグレッシブに変化させるエフェクターとしての効能だ。

実は、これこそが、魔法のロックサウンドなのだ
誰かが気付いたんだろうな〜。ある日、ドラムを録っていて、エンジニアがオーバー入力してしまった 。『しまった、どじっちまった。』ところが、誰かが言うのだ。『カッケーじゃん! このサウンド!!』

※例えば、ビートルズのマジカルミステリーツァー収録の“アイ・アム・ザ・ウォルラス”の、ジョンのボーカル!!!
あの張り付き感。例えば、ツェッペリンのミスティマウンテンホップの嵐のようなドラムサウンド。あのサウンドに、どれだけのアーティストがインスパイヤされた事か!

※オーマイガッ!! 二人ともジョンだ!!!

大体、カッチョいーものは失敗から生まれる。

ところがだ。このコンプ、僕らが普通に手に入れる事の出来るレベル(価格)では、そのカッケーサウンドは出ない。
自信を持って言い切ってしまおう。出ない。この仕事を初めて25年、コンプを研究し始めて、優に20年にはなる。のに、出ない。どんな設定にしても、どんなにいじくり倒しても、はたまた、お祈りしても、・・・出ない。

こいつらではジョンの張り付くような、ひりつくようなサウンドは出ない。掟破りの直列数珠繋ぎなんぞをやれば、近い事は近い。しかし違う。

で、こいつ、dbx162SLはどうなんだ? と言う話ですな。

残念! なことにこいつでも、そんなサウンドは出ない。タイプが違うのじゃ。

こいつは、音質が良い、ゆえに、音は変化しないのじゃー。

当たり前だが、万能機なんてないのだ。

宝くじしかないのか ?

神様ー、お願いだー、俺に、フェアチャイルドと、Urei 1176×2と、Distresso-B.I.O×2をくれー!!!

 

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