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試聴  マイクプリ名機対決!!

5月 19, 2012 in blog

またまた放置・・・・というか、忙しすぎて更新不可の日々。。。。

やっと一段落ついたので、やっとこ更新。

二ヶ月も前のことを書くのもなんだが、やっと、前回の続きを記すことができる。

img_1533.jpg前回に述べたように、Neve、API、SSL、SPL、を代理店からお借りし(あんど、N君から借りたマッキー800R)、 いろんな角度で時間の許す限り攻めてみたので、それを記そう。

さて、今回の大きな目的は、レコーディング業界の大定番とも言うべき、Neve、API、SSLを、実際にこの耳で聴き、録ってみることだった。

昔、お世話になっていた制作会社の社長さんのご縁で、幾度か東京の大スタジオで、SSLの卓は触ったことはあった。

しかし、あくまでも触った程度。しかも、その時は、ミックスをやらせて頂いただけで、肝心の録りはやっていない。

もっとも、当時、長崎で知ることのできた卓のマイクプリがへぼ過ぎて、何を聞いても素晴らしく聞こえたことだろう 。

実際、初めてSSL(Eシリーズ)から音を出した時、そのSNの良さに面食らったことを鮮明に覚えている。

いつもの癖で、モニターレベルを12時くらいの位置に合わせていたところ、マルチが回ったとたんに、メインモニターからとてつもない大音響が鳴り響いてあわててボリュームを絞ったのだった。冷や汗出たな〜。。。

要するに、モニターから聞こえるはずのヒスノイズが全く聞こえなかったため、思わず、ボリュームを上げてしまっていたのだ。(因みに、当時長崎で使っていたのはTASCAMとYAMAHAのレコ卓)

因みついでに、そのスタジオのメインは、TADのツィーターにガウスのウーハーだった。

さて、前置きが長くなってしまった。

img_1534.jpgロックと言えばNeve。ニーブと言えばRockというくらいもんで、専門誌を読めば出てこない号等ありゃしない程、Neveの製品は名機として名を馳せている。

ところがだ、この商売で生活するようになって29年のこの私、恥を忍んで言うが、ただの一度もまともにNeve Mic Preの音を聞いたことが無い。(VRシリーズの卓を触ったので、全くない訳ではない。)

特に、名機の誉れ高いビンテージ1073は、常に憧れの彼方だった。勿論、本物のビンテージ等到底無理。それでも、コピーでも良いから聞いてみたい・・・つーことで、本家AMS Neve が、復刻版1073を出しているので、これまた伝説の名機API、そして、現実的なSSLとともに取り寄せてみた訳だ。

では、早速Neveから。

はやる気持ちを抑えつつ、電源を確かめる・・・ユニバーサル電源だ、100Vで良し。

U87AiとSM58(USA)を用意し、まず87を繋いでみる、声でレベルを合わせてみる・・・んんんん????

何か歪んでる?なじぇ?・・・58に変更・・・同じ・・・・

結局、原因は電圧だった。120Vに昇圧すると・・・普通にクリアーなサウンドが出てきた。何がユニバーサルじゃ!!

しかし・・・・何かピンと来ない。。。とりあえず、芯があって前に来る感じはあれど、けっこうSN悪い。

ピンと来ないまま、DIチェック・・・・あれっ?! これDI付いてない?! ショーック!! マイク入力といわゆるライン入力があるだけだった。少しがっかり。APIがあまりに素晴らしかったため、相当印象悪い。(なんせ高い!!!!)

で、いつものようにドラマー君に来てもらって、ドラムでチェック。(翌日から彼らのバンドのレコーディングが入っていたため、一石二鳥!!)

Neve、API、SSL、SPL、O2Rで、それぞれスネアとキックを録ってみた。

それぞれの印象。

img_1536.jpgAPI3124+・・・・・評判通りのパンチのあるサウンド。ローに弾力感があって、好きだ。

SSL Xlogic VHD pre・・・・・普通。可もなし不可もなし。ただ、O2RよりはっきりとSNが悪いので、買うことは無いかな。。。

SPLGoldmic MkII・・・・・失礼な話、たまたま借りた本機。意外と良かった、が本音。球と石のハイブリット機だが、より球よりの音がした。温かく丸い。しかし、SN抜群、リミッターやチューブサチュレイト?みたいなエフェクト効果もあり、音が気に入ればお買い得かも。(2chで19万円程)

で、最後に・・・

Neve 1073DPA・・・・さすがに一線を画する。『ロックはニーブ 』を確信できるサウンド。ただ、やっぱりSNが悪い。この機種はデジタルアウト付きだったため、それも試したが、ノイズは激減すれどもレベルがガクッと落ちるし、何か、大人しい音になったため却下。

img_1538.jpgMacie Onyx 800R・・・意外に(失敬)健闘したのがこれ。派手さは無いし普通と言えば普通なのであるが、若干だが、O2Rよりも芯のある音だしローもグッと来る。。デジタルアウトはO2RよりもSN良いし、アナログアウトもほぼ同格。ただ、コイツもデジタルはアナログ比べ6dB程(多分)出力が低い。しかし、価格を考えると相当良い。

そして、最終的に、ドラムそれぞれにどのマイクプリを当てるのか悩みに悩んで、まずは、スネアトップにBeta57+Neve、ボトムにSM57+800R、キックにATM-25+API、タムにSM57+API、トップにC414+SSL、ハイハットにC451EB+SSLアンビエンスにSony C-38B+SPL、ベースにDI+Neve、という布陣に・・・・

img_1541.jpgなお、キックは、Beta52、AKG112と聴き比べ、タムはMD421との聴き比べ、アンビエンスはSM58との聴き比べの結果だということを付け加えておく。

とりあえず一回聞いてみる。すぐさま違和感・・・・

スネアとキックに距離感がある。スネア、つまりNeveの方が前に来る・・・・おーっさすがじゃー。(現金なおっさんじゃ)

もう少し具体的に言うと、ミッドにガッツがあるというか、アタックがガツッとしてるというか・・・抽象的でスンマソン(古っ)いわゆるロックな感じ・・・・ローの量感はAPIも決して負けてないんだけど・・・

もう、これは質の違い好みの違いというしかない。全部APIでもNeveでも良い感じ。

しかし、今回Neveは2ch、APIは4ch。この中で決しなければならないのだ。

という訳で早速キックをNeveにチェンジ。その流れで、TOPをAPIに、ハイハットを800Rに、BassはSSLのDIにチェンジし本番へ突入。

何とか無事にドラムス&ベースを録り終えオーバーダブへ。

まずはギター二人のうちのH君。このバンド(クリティカルステートさん)は、どちらかというと昔懐かしいイエモン(イエローモンキー)とかに影響受けたロケンローな感じなので、迷うこと無くアンプはビンテージマーシャルをチョイス。

マイクは、SM57&58(USA)及び、MD421の中から、SM58(USA)をチョイス。途中、ツインリバーブ &57によるクリーンサウンドも録りつつ無事終了。

img_1548.jpgやっぱ、この手のサウンドにマーシャル1959は欠かせないのー。

続いて、ボーカル関係。始め、U87Ai+Neve +dbx162slで挑んだが、何かしっくり来ず、いつもの、U87Ai+Avalon vt737sp+dbx162slに変更。すんなり録れた。

何故、Neveはダメだったのか? やはり、少し歪みっぽく感じからだ。ボーカルに意図しない歪みは要らない。

それと、やはり、SNが気になる・・・

今思えば、やっぱりNeveは250Vで駆動した方が良いんではないだろうか? そうでないと本来のサウンドは出ないのではないだろうか?

それとも、やっぱり巷の噂通りビンテージNeveでないと・・・ということなんだろうか?

いずれにしても、もう少し、時間が欲しかったな・・・

そして、都合で最後の録りとなったもう一人のギター君もアンプは結局ビンテージ1959。(ブギーとか試した挙げ句)

マイクはMD421。個人的に、ビンテージマーシャルはMD421で録る方が好みだ。クリーンサウンドは ブギーとSM57。

こうして、録りは無事終了。今回は、すべて完全No-EQで録り切った。(普通は、ドラムに限り最小限のEQを施す)

それは言うまでもなく、この高価なマイクプリ群のサウンドをきっちり知るために他ならない。

そして、録音後に到着したEmpirical Labs EL8XM ディストレッサー(Photo上)。コイツも長年聞いてみたかった業界定番の名機だ。これは、いわゆるコンプレッサー。ただし、デジタル制御のシュミレイションアナログコンプ。古今東西の名機をシュミレイトしてあるらしい・・・ということで早速聞いてみる。。。。

img_1553.jpgこれはスンゲェー・・・・1176もLA-2も、そのまんまかといえば僕には分からんが、とにかく音が良い。ぐいぐい来る。そして、1176とは比較にならない程SNが良い。

ボーカルやドラムには抜群ですな。とにかく太くて前に来るし、パンチがサイコー。ロックもののマスターにも良さそう。プラグインとは別物・・かも?・・・ん〜欲しい・・・これ。(勿論、普通に大人しくも使える)

昔のように、いつもロックバンドを録っているのなら速攻買ってる。それほど良い。

最後にAntelope OCX。世間では何かと喧しいマスタークロックであるが。僕にはその効能がさっぱり分からない。

ただし、今後更にデジタル機器が増えて、どうしてもクロックを合わせなきゃならない事態になったら導入するが、いわゆる音質のためにということでは必要ないように思う。

よっぽど僕の耳が悪いのかもしれないが、本当にそう思う。マニアの間では常識になっている高価な電源ケーブルやコンセントにしても同様だ。

(とはいっても、スタジオのコンセントは全てパナソニックのホスピタルグレードにはしてある・・・)

ocx.jpgマイクケーブルにしても、かつて、CANARE、BELDEN、MONSTOR、MOGAMIと比較した事があるが、確かに違った。

が、それがどうした、というレベルだった。この中なら、何使っても良いと思う。僕は、価格を考慮し、CANARE、BELDEN、MOGAMIの中から、その時の気分で買っている。

(勿論、安モノやおまけのマイクケーブル/楽器シールドは論外。これは使えない)

しかしながら、こんな風に、何とか納得する事ができるのも、実際に聞いて録音してみたからだ。

とりもなおさず、知らなきゃ話にならんのだ!!

ということで、今回、協力して頂いた各代理店の方々、特に、全てのコンタクトをとって頂いた(株)ヒビノのF様には、深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

そして、僕らだけの思い入れのために、長時間付き合ってくれたクリティカルステートの皆さん、本当にありがとうございました。おかげ様で良いサウンドに仕上がったよー!! 良かったねー!!

・・・・さてさて、結論としては・・・・・

こんな事と言うと身もふたもないのだが、ミックスを終了してみて思ったのは、大事なのは、マイクプリだけではないな〜と心から感じた事だった。

確かに、NeveやAPIは素晴らしい。

しかし、YAMAHAであってもPresonusであっても、それなりにちゃんとした音で入る。勿論、先に述べたように、確実に違いはあるにせよ、使えない代物等ではない。

結局、そんな事よりも遥かに大きな事は、やはり、演奏者自体が出すサウンドであり、その楽器そのものである、と言いたいのだ。

ドラムで言えば、ドラマーのちょっとしたショットの違いや 、皮の種類及びその新しさ(古さ)によって、サウンドは大きく変わる。ギターは、当然の事ながら、その機種やアンプは当然として、ピッキングやタッチによるサウンド変化の方が遥かに劇的だ。

そして、その次にくるのが、僕らエンジニアの腕であり、その次がマイク。マイクプリは、そのまた次だ。

優先順を間違えないようにしたい。何か、最近、機材さえ良ければ、良い音になるかのような錯覚があるような気がしていたが、それは大きな間違いだ。

それと、プラグインが使い放題なのも問題だと思う。昔は使える数に限りがあって、使う優先順位を決め、録りに使うものミックスに使うものをきっちり計画しながら、録りの段階で、ほぼ70%程は音決めしながら録っていた。

結論を後回しにできなかった事が、良い結果を出していたようにも思う。

とは言っても、良いものはやはり良い。

今回の試聴大会の成果として、特に印象深かったのがAPIだ。いつか、Avalon AD2022と直接対決をさせてより好きな方を購入したいと思った。

それと、今回の試聴で、いつに増して強く感じたのは、やはり、モニタースピーカーだ。何とか、NS-10Mに代わるものを見つけないと、そう強く思った。

まっ、購入リストの最上位は、モニタースピーカーつーことですな。

よしっ、次は、あれとあれを取り寄せて・・・・・・ブツブツブツブツ・・・・ 病気は治らない。