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JIN~仁

10月 12, 2009 in blog

週末はずっと外仕事だった。とはいっても野外ではなく、スタジオではなく他の場所で、と言う意味だが。

おくんちが終わって、長崎もすっかり秋色が深まった。

バイク通勤も上着無しではそろそろ寒い。

そんな昨日、期待のドラマが始まった。

jin_3.jpgちょっと前から、番宣その他で告知しまくっていた番組『JIN~仁』だ。

物語は、現代の脳外科医が幕末の江戸へタイムスリップし、もっている医術で、当時の人々を救いつつ、時代の奔流の中へ巻き込まれてゆくというものだ。

それプラス、それぞれの登場人物が抱える問題や、歴史上の事実がサスペンス的に織り混ざって先が読めない面白さがある。

プロットもさるものながら、登場人物も、坂本龍馬に緒方洪庵に勝海舟といった幕末ファンには堪らん陣容だ。

jin_2.jpgそれに何といっても、主演の大沢たかおが良い。

僕が最も好きな俳優の一人だ。その存在感と言うかたたずまいというか、・・・。

それと、名前は知らんが、枝豆売りの小僧役の子役・・・天才だね。

彼の演技に感動して、思わず泣きそうになった。

勿論、脇を固める俳優陣も素晴らしい。それに、昔の時代物とは比べ物にならないリアリティ。

CGを駆使した風景、忠実に再現した江戸の街、本物の火を使用した明かりや竃、スタッフの力の入りようも尋常ではない。

昨日の第一話にして、すっかり虜になっちまった。

勿論、大好きな龍馬も登場するし、タイムスリップして幕末へ飛ぶと言うコンセプトも、かつて自分自身が舞台で試みたことがあるだけに興味も尽きない。

しかし・・・脳外科医をタイムスリップさせるというアイディアは、かつて滝田栄主演でドラマ化された『大江戸神仙伝』 (現代の製薬会社社員が江戸後期へタイムスリップ)を思い出させる。

まっ、作者も確実に、この作品からインスパイアされたに違いないが、内容は完全にオリジナルだ。

それにしても、医者をタイムスリップさせたのが良いね。

第一そこらの歴史の一つも知らんようなアンポンタンがタイムスリップしても、まったくオモロくならんもんね。

例えば、『今何年ですか?』という質問に、当時の人なら100%元号で答える、嘉永4年とか。

知識があれば、それが大体いつぐらいという目星もつくから、そこから物語も膨らむ。

このドラマでも同様の質問をし、綾瀬はるか演じる武家の娘が『文久二年』と答えて、大沢演じる南方仁が、『黒船はもう来ましたか?』とさらに尋ねるシーンがある。

文久二年を良く知らなくても、南方には、それが大体幕末の頃という算段はたっている。そこで、黒船、という極めつけの歴史キーワードを出した訳だ。

それに対し『もう9年も前ですよ。』という答えで、南方には、そこが、1862年の江戸、と分かる仕掛けになっているのだ。オモロいね〜・・・・

歴史を知らんアンポンタンであれば 、『ハァ〜?』で終わってしまう。

若者よ! 勉強しとこーぜ! タイムスリップしたら困るぜよ!

それに、医術であれば、時代そのものを動かすパワーとなりうるため、物語として、自然にスケールを大きくしてゆける。。。。巧いなぁ〜。。。

たった一つ、注文を付けるとしたなら、やっぱり明かりだ。

jin_1.jpg日本のドラマは、どうしても、部屋や、夜の戸外、等、 実際は暗いシーンを明るく撮ってしまうきらいがある。

カメラに写りにくいのと、見えやすくする、というサービスなんだと思うが、 ここまで時代考証に忠実にするのなら、やはり明かりは譲れない点だね。実に惜しい。

この点、海外作品は一歩先んじていると思う。

あっ、それともう一つ、江戸時代の旗本の母親役として麻生祐未さんが出ているが、彼女、眉をほぼ剃っている。

これは、当時の既婚婦人の証だった。そして、その証はもう一つあったのだが、それは実現されていない。それはお歯黒だ。

歯を、タンニンと酢酸第一鉄の化合物で、黒く染め上げるのだ。

モノの本によると1000年以上の歴史があるらしいのだが、何故そのようになったのかはよくわからない。

だが、副作用として、虫歯予防に大変効果があったらしい。

しかし、現代の感覚では、眉無しの歯黒じゃ気味悪すぎるのかな?

というような判断なのだろうかね?

まっ、いすれにしても、本作の魅力の前には微々たるものではあるが・・・・

それに、このドラマには、かつて日本人が持っていた美しさが描かれている。あるいは描こうとしている。

謙虚さだとか、子供の親への忠孝であるとか、我慢辛抱だとか、貞淑だとか、恥じらいとか、矜持だとか・・・・

現代は、我が我がと前へ出るばかりを強さと勘違いし(自分自身、耳が痛い)、人との繋がりも損得勘定でのみ選定し、好いた惚れたと大騒ぎしちゃあっという間に乗り換え、あるいは自分の感情だけが先走り、相手に拒絶されようものなら、簡単に命さえ奪ってしまう理不尽さ。

明治以降、日本は、良きものはすべて海外にある、と、何もかも欧米を真似してきた。

僕らの世代は、その集大成とも言える。(勿論、良いものだってある)ところが、ここへきて、その価値基準はほぼ破綻している。

誰もがこのままでは良くないことだけが分かっている。しかし、どこへ行けば良いのか分からない。

このドラマのコンセプトも、きっと、どこへ行こうしているのかよく分からなくなった現代日本自らが、かつての自分を取り戻そうというメッセージなのかもしれない。