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愛機シリーズ 番外編#3 Ibanez Tube Screamer TS-9 Analog Man MOD

9月 20, 2008 in blog

あっという間に八月は過ぎ、九月も後半になるのだが、まだまだ暑い。

しかし、この季節は果物が美味い。先日、知人から、旬の梨をたくさん頂いた。みずみずしくて、さわやかな甘さ。この甘さは人間には創れんだろうな〜とかぼんやり思いながら、今朝も堪能した。

さて、今日も続く番外編、オーバードライブ特集。

ふと考えてみる。そんなに僕は、オーバードライブが好きだったのか?

答えは“否”だ。

僕がやっていたバンドのギタリストも、その初期はさておき、本格的な活動していた時期は、マーシャルへ直インだったし、僕自身レコーディング時に、(エンジニアのくせに)ギタリストのセッティングから、(どうしても必要なエフェクター以外)すべて取り外す事で有名だった 。

つまり、何より、アンプ直のサウンドの信奉者なのであり、ペダルエフェクターなど、玩具くらいにしか思っていなかったのだ。

要するに、ペダルエフェクターのサウンドに満足した事等無かったのだ。

大げさに言うならば、エフェクターなど必要悪だった。本来なら、ギターとアンプの間には何も入れたくないのだが、どうしても必要なのであれば、仕方なく使う、・・・みたいな。

理想は、アンプと手のみで最高のサウンドを出そう、なのだ。

で、とりあえず現時点では、マーシャル1959 1971年製と、フェンダー・ツインリバーブ 1980年製 の2台を、ギターアンプ原器として、僕の中の基準としている。(いずれも信用あるリペアショップにて、最高の状態にしてある。)

しかし、 ツイン・リバーブは言うに及ばず、さすがのビンテージ・マーシャル1959をもってしても、歪みに関しては充分とは言えない。ここ一発の、もう一押しが欲しい。

僕は困った。素晴らしいオリジナルを改造するなんてもってのほかだし、ペダルエフェクターは信用できない。

とはいえ、歪みは足りない。・・・そんなある日、僕の価値観を覆す事件が起こる。

それが、今回紹介する 、Ibanez Tube Screamer TS-9 との出会いだった。

cimg1123.JPGその3  Ibanez Tube Screamer TS-9 Analog Man MOD 2002年製。

もちろん、TS-9の存在は知っていたし、SRV御用達も承知していた。
しかし、その昔のマクソンの件(前々回参照)以来、どうも、印象が悪く、実際に手に取って弾きこんでみることは無かった。

ところが、このTS-9。ただのTS-9ではない。アメリカの有名エンジニア、アナログマンによるモディファイ品だ。

※ おっさんらしく、ネットデビューが 遅かった僕にさえ、昨今の、ブティック・モディファイと言われる、腕利きエンジニアに依るエフェクターやアンプの改造・改良の素晴らしさは聞こえてい た。殊に、アナログマンやキーリーの製品の評価は高く、いつか僕も試してみたいと思っていたのだ。

アナログマン。名前はどことなくすっとぼけているが、サウンドは本物だ。

このモデルは、銘機中の銘機と言われ、かのスティービィー・レイ・ボーン(SRV)を虜にしたオリジナルTS-808に、出来るだけ近づけたものだ。

サウンドの中枢であるオペアンプも、オリジナル艶有りJRC4558Dを搭載。
(因に、現行チップとの比較であるが、現行品は、よりコンプ感が強く、それに伴い抜けが今イチ悪い。)

cimg1124.JPG普通のTS-9に比べると、TS-9らしい中域のふくよかな、コンプレッション感のある独特の質感はそのままに、抜けの良さ、ノイズの少なさ、音質の滑らかさ、すべてにおいて別物になっている。

とにかく、その質の高さに驚いた僕は、それまでのペダル観を一新させた。

『いつの間にか、こんな良いもの出ていたんやねー、失敬失敬。』まったくの勉強不足でありました。

このTS-9を、レベルを目一杯、ゲインをそれなりに上げてツインリバーブにぶち込めば、たちどころにあの音(SRV)が飛び出してくる。

僕は、SRVの数々の素晴らしいサウンドの中でも、ダンブルアンプに直インした初期のサウンドが一番好きなのではあるが、自分で、実際に弾いてみると、このフェンダーとチューブスクリーマーの相性の良さには言葉を失う。さらに、ストラトとのコンビネーションは特筆もので、これをいち早く発見したSRVは、やはり天才というしか無い。

今となっては、チューブスクリーマーは、その後のオーバードライブの歴史を塗り替えた機材になってしまっている。

世界最高の呼び声もある、定価100.000近い『ランドグラフ』や、チャー使用で一世風靡した、『ケンタウロス』、その他諸々ほとんどすべてのブティックオーバードライブの起源 は、チューブスクリーマーなのだ。

※ランドグラフは、残念ながら現物にお目にかかったことは無い。ケンタウロスは、発売当時の金箱も、その後の銀箱も良く知っている。チャーと同じマッチレスDC30で弾いた感想は、さらに太くなったチューブスクリーマー、という感じで、・・僕はあまり好きではなかった。 ノイズも多いし、だいたい高すぎる。(実勢で70.000円前後)

チューブスクリーマー自体には、いたく満足した僕だったのだが、そこでまた、一つの思いがむくむくと頭をもたげてきた。

僕の理想のオーバードライブサウンドの一つは、リッチー・ブラックモアのライブ イン ジャパン時のサウンドだ。

とにかくぶっとくて、艶やかで、程よく歪んでいて、素晴らしくサスティーンして、かつ、ボリュームを絞っても、艶やかなままクリーンサウンドになる。しかもノイズレスで。

つまり、マーシャル本来のサウンドを何もスポイルすること無く、ゲインアップすることこそが、僕の欲しい音なのだ。

このサウンドは、決してチューブスクリーマーでは出ない。チューブスクリーマーを使えば、当然、どこまでいっても、その癖に支配される。あの、ミッドが膨らんだハイカットされた音だ。

昔、僕は、きっとリッチーはストラトをダイレクトにマーシャルにぶち込んでいる、と信じていた。
何故なら、数少ないフィルムに映る彼の足下には何も無かったからだ。

しかし、その後、使っていたマーシャルは、200W仕様のもので、あまり歪まないらしいという情報を得る。同時に、何とか?というトレブルブースターを使っていたことも判明。

ショックだった。そりゃそうだ。ダイレクト アンプ 信奉者なんだから。

さらには、その情報に付随して、ブルース・ブレイカーやクリーム時のクラプトンさえも、 同様のものを使用していたことを知る。

愕然とした。確かに、昔のギタリストはよくブースターを使っていた。ブライアン・メイや、ロリー・ギャラガー、チャー・・・そういえば、高校の時のバンドのギタリスト、故 永田ヒデキも、ストラトにパワーブースターを使っていたっけ。

これらのことが発火点となり、僕のオーバードライブ・ブースター収集の旅は始まったのだ。・・・ジャンジャン。

つづく