Archive for 4月, 2008

 

ビートルズを録った男の話

4月 21, 2008 in blog

今日は訳あって、昼頃出勤した。その途中、素晴らしいものを見た。

20年ほど前、僕は、松山町にあったパパズミュージックのスタジオに入り浸っていた。
勿論、レコーディングする為だ。レコーディングは長丁場。よく出前を取った。
その中でも、中華の○○は、頻繁に利用した。とにかく安い。当時、確かラーメンが250円くらい。
焼きそばやチャーハンも300円位だったと思う。味も、あっさりしていて美味かった。
そこの旦那さんであるじいちゃんが、運んできてくれた。
あくまでもじいちゃんである。決しておじさんではない。・・・・・・・

そのじいちゃんを見た。元気に歩いておかもちを運んでいた。・・・・・・一体、いくつなんだ??
いつまでもお元気で。・・・・・久々にいってみようかな。

本を何冊か買った。全て音楽関係の本だ。
その中の一冊。『ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実』何ともいかめしいタイトルのついた本だ。
このテの本は、読んでみると、作者の思い入れが強過ぎたり、本物の現場を知らない事による、ミスやデマが多かったりする。
しかし、この本は違う。何といっても、本物のエンジニア、それもビートルズを実際に担当したエンジニア、ジェフ・エメリック本人が書いた本だ。しかし、さすがに生々しいし、よくぞここまで書けたな、というぐらい赤裸々だ。大半の関係者が亡くなった現在だからこそなせることかもしれない。

僕にとってビートルズは、それこそ音楽に興味を持たせてくれた張本人なわけで、エンジニアとしても言葉にならないほど影響を受けた音楽だ。その音を作った本人の本なのだ。分厚い本だったが、暇な時間全て費やして2日で読んだ。

長年不思議だった、あんな事やこんな事、あんな音やこんな音、その全てがここにある。

いやーたまらんね。ビートルズ好きは言うに及ばず、全ミュージシャン&エンジニアは必読の本だと思うね。

YAMAHA M7

4月 14, 2008 in blog

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昨日は、久々の野外イベント。某大学の新入生歓迎イベントだ。朝から、延々ととサークル紹介。午後からは軽音サークルの紹介。ギタートリオのロックバンドから、ビッグバンドジャズバンドまで9バンド出る。〆はビンゴゲームコーナーだ。残念ながら、小雨降る悪天候だったが、なんとか無事行えた。

で、今回、初めて、YAMAHA M7というデジタル卓を使ってみた。(ありがとう宮園君。)

普段は、4人がかりで上げる卓も二人で楽々。卓周り機材も、いつもなら、両サイドに、まるでコクピットのように立ち並ぶ機材類が、右サイドにちょこっと。(写真に写る物が全てだ。)EQもエフェクトも、そのほとんどが卓内蔵だ。よって、セッティング作業もあっという間に終了。素晴らしいね、デジタルって。

デジタル卓は、普段スタジオで同じヤマハのO2Rを使っているし、自分で音響設計したライブハウスにも、DM1000をチョイスし、勿論オペレートもしている。ので、何の不安も無かった。・・・・ところが、

これは予想していた事だが、やはり、相当慣れないと、モニター返し等の作業は、スピィーディーに 出来ないし、多くのバンドが入れ替わり立ち替わり出るようなイベントの場合、同時に全チャンネルの全パラメーターが見れない、というのは辛い。

それと、サウンドが予想より随分違う。
PAアナログ卓といえば、僕はこれまで、ヤマハのPM1000や1516に始まり、3000シリーズ、サンクラ(サウンド クラフト)のS800等を経て、現在は主に、マイダスのVeniceや、サンクラのMH-3を使用している。

これらアナログの卓とM7のサウンドの最大の違いは、何となく勝手に音がまとまってくれるアナログに対して、デジタルは、まったくまとまってくれない。

分かりやすいのがドラムだ。

サンクラの卓などは、EQ無しでも、かちっとしたアタックがあって、コンプなど使わなくとも、びしっとタイトにまとまる感が有るのだが、M7にはまるでない。
個々の音も、何となくパスパスした音で、力ない感じだ。ドラム以外は、それ程差は感じないのだが、バンドものの場合、ドラムサウンドは何といっても要なのだ。

非常にSNも良く、EQ等も、アナログ卓と段違いの精度を見せるのに、何じゃ、この面白みの無い音。

(そう言えば、O2Rが来た当初も、ドラムをまともな音にするのに随分時間がかかった。
結局、卓では位相合わせ以外は極力何もせず、ドラム本体のチューニングとスタジオアコースティックを改善することが答だったし、ミックスの際は、必ず、一旦外へ出し、アナログのコンプを通す事が、もはや定番化している。しかし、O2Rでも、これほど色気の無い音ではなかったような気がする。・・・)

つまり、よく言うと、それだけ正直に素直に音を出すのだろう。卓の中で何かが起こる、何て事は無いのだ。

余りにも、パツパツとした色気のない音なので、コンプを掛けてみたのだが、これまた、アナログの物と、かかり方が相当違う。アナログの物は、良くも悪くも、掛けたら直ぐにそれと分かる、それらしい音色の変化が起こる。
つまり、いわゆる、引き締まったマッシブな音に変わるのだが、このコンプは、少し趣が違う。当然、レベルは抑制してくれるのだが、アナログのような好ましい音色変化は小さい。

ん〜む・・・・これは難しいのぉ〜。 これだけコンパクトな上に、この多機能は捨てがたい。
勿論、バンドもの以外だと、ベストチョイスだろう。

それこそ、ミュージカル等の複雑な舞台音響には、絶対にありがたい機材だ。
数年前の僕の舞台を上演した際に、これが有ったなら・・・・・

しかし、今回のような、多くのバンドが出演するフェスティバル(しかもノーリハだ!!)は、かなり厳しいね。
おまけに気のせいかもしれないが、フェーダーのカーブも違う気がする。
ボリュームを下げて行くと、有る地点から急激に下がるような・・・
また、音質も、低レベルでは、何だかシャリシャリするような感じが・・・・

おいおい、なんちゅうネガティブ発言連発なんだ〜。トータルで見ると、決して悪くないんだけど、ドラムが良くないと、ホント評価にひびくけんね〜、俺らバンドマンには〜。

そうは言っても、とにかく今は、勉強する事が大事なんだろうな 。(またよろしくね〜宮園君。)
未来は、ほとんど全てがデジタルになって行くのは確実なわけだから、経験を積むしかないね。今はあくまでも、アナログの方法論で語っているわけだから。
必ず、デジ卓ならではの良い音になるポイントが見つかるはずだ。

それに、僕のこの感想は、デジ卓を使った人の多くが持つものだと思うので、きっとメーカーにもフィードバックされている事だろう。であれば、きっと近い将来、そういう部分を改良?したものが必ず出てくるに違いない。
楽しみでも有るね。

エンジニアとして影響を受けた名盤シリーズ No-2

4月 10, 2008 in blog

今日は朝からグズクズ天気だ。予報ドンピシャだ。
で、本日も名盤シリーズ。今日のは凄い。まさにロックを代表する名盤だ。

僕はこれまで、かなりの数のレコードを聴いてきたと思うし、好きなアーティストやジャンルも多岐にわたる。別に、ロックだけが好きなわけではない。ベートーベンだって聴くし、ヘレン・メリルやジョー・パスも好きだ。
しかし、そうはいっても、結局、僕のルーツは、二つのバンドに集約されてしまう。

一つは、ビートルズ。
ディープパープルを知った中三の時、一時的に離れたが、所詮ハシカのようなもんで、半年もしないうちに、またビートルズを聴くようになり、それから僕の人生は、常に彼らと共にある。

そして、もう一つが、レッド・ツェッペリンだ。
彼らを初めて聴いたのも中三だったが、それは、シングルの『移民の歌』で、中三の僕には今一つだった。な〜んか気持ちの悪い曲やな〜というのが正直な感想だった。
それが、その直後に聴いたディープパープルの『ライブ イン ジャパン』のお陰で、すっかりハードロックに目覚めた僕は、次々にハードロックバンドを聴き漁るようになった。
そんな中で出会ったのが、ツェッペリンのセカンドだった。これにはやられた。もう一曲目から一発KOされた。
その日から、僕の中のランキングが、一位ツェッペリン、二位パープルになった。

それから日を置かずして聴いたのが、今日紹介する名盤、ツェッペリンの4枚目。タイトルはない。
希代の名曲『天国への階段』を含む、ロック史上燦然と輝く、名盤中の名盤だ。
(彼らのアルバムは全て好きだ。しかし、サウンドを研究する上では、やはりこのアルバムは避けては通れない。)
初めて『天国への階段』を聴いたのは、ラジオだったように思うが長過ぎて途中でフェードアウトしたような気がする。しかし、その美し過ぎるイントロだけで、虜になった中坊の僕だった。

No-2 LED ZEPPELIN 4 1971

cimg1004.JPGアーティスト:  レッド・ツェッペリン
プロデューサー: ジミー・ペイジ
エンジニア:   アンディー・ジョーンズ
スタジオ:    ヘッドリーグランジ with ローリングストーンズ・モービルユニット
アイランドスタジオ
ミックス:    オリンピックスタジオ、アイランドスタジオ(ロンドン)
サンセットスタジオ(ロサンゼルス)

このアルバムは 、通称フォー(4)と呼ばれているだけで、正式には無タイトルだ。バンド名すら入っていない。というか、文字一つ無い。
当然、レコード会社とは大揉めだったらしいが、それを押し切ってしまった、ジミーとマネージャーのピーター・グラントの剛腕ぶりも痛快だが、この時代のロックバンドの志の高さと、それを認めた社会も、現代から見ると羨ましく思える。

(結果として、このことも逆に宣伝になり、バンド史上最大のセールスを記録した事実は、まさに名プロデューサー、ジミーペイジの面目躍如といったところか。)

もちろん、ジミー・ペイジは内容に絶対の自信があり、名前なんかではなく中身で勝負だ、といいたかったのだろう。

デビュー以来、史上空前のハードロックバンドといわれたツェッペリンだが、決してそんな括りで語れるようなスケールのバンドでない事を、このアルバムで証明したと思う。音楽的には、本来のブルースベースのハードロックから、アイリッシュトラッドフォークに、中近東音楽への憧憬、さらには、インド音楽への接近、と、その音楽観は、全世界へ広がっている。そして最も凄いのが、その全てを、レッド・ツェッペリンという一つのカラーで統合しているという点だ。この点こそが、アーティストとして、最も重要な才能なのではないだろうか?
誰かの真似をする事は容易い。しかし、その影響を受けた上でなお、自分ならではを表現できる、ということこそが、まさに芸術家の仕事だと思うのだ。

※実際、彼らの作品にはパクりが多い。特に、ブルースからのパクりは結構エグイ。
しかし、聴き比べると呆然とする。確かにパクっているのだが、もはや別曲かと思えるほどグレードが上がっている。
僕が作者なら、思わず、パクってくれて光栄です。とでも言いそうになるのは言い過ぎか?!

レッド・ツェッペリンとは、彼らの出すサウンドそのものが、オリジナルなのだ。・・・・

さて、肝心のサウンドについてだ。まず、データを見て直ぐに気付くのが、ローリングストーンズ・モービルユニット、という部分だ。これは、その名の通り、あの“ローリング・ストーンズ”が、所有する移動レコーディング車だ。この頃やたらと流行っていたらしく(ひょっとして、商売熱心なミック自ら、バンド仲間に営業しまくったのかも?)、様々なバンドが利用している。
(同じ頃、ライバルといわれたディープパープルも、このユニットを使って、スイスのホテルで、名盤『マシン・ヘッド』をレコーディングしている。)

いかんいかん、つい横道へそれてしまう。このモービルユニットと言う点が味噌なのだ。

つまり、どこへでも行けてしまう。ヘッドリーグランジと言う場所がどんなところだったのかは不明だが、所謂スタジオでないのは確かだ。

この試みは、実は、サードアルバム製作時にはスタートしていた。よほど、そのやり方がお気に召したようで、本作でも引き続き採用になったようだ。暗く閉鎖的なスタジオから飛び出して、自由な雰囲気の中で、思う存分曲を作りたかったのだろう。曲に応じて、いろんな場所で録ることだって可能になる。 その為のモービルなのだ。

ジミー・ペイジはこう言っている。『サウンドは、その場の空気そのものだ。』
(ジミー自身、ギターの録音をする際は、普通にマイクをスピーカーの前に置くのではなく、イメージの音が得られるまで、自由にマイクを動かして 位置を決めたという。多くは、スピーカーからかなり離れていたという。)

ジミーの、その考えが最も顕著に現れているのが、ジョン・ボンゾ・ボーナムのドラムだ。

まず、一曲毎に音が違う。
比較的普通に録られたA面であるが、『天国への階段』では、興味深い事が発見できる。
この曲は、恐らく、トップとキックを中心に(多分、トップ、キック、スネア、タム)足りない物を クロースマイクで補ったと思われるのだが、明らかに、ハイハットとシンバルがオーバーダブされている。豪快に一発録り、というのがイメージなだけに、そんな繊細なプレイをボンゾがやった事がおかしい。(失礼!)
しかも、何故かこの曲だけは、アイランドスタジオという普通のスタジオで録られている。

B面へ行くと、のっけからぶちかまされる。『ミスティ・マウンテン・ホップ』だ。

この曲も、何といってもドラムだ。左に、キックとトップのクロースマイク、右に、少し離れた場所に置いたアンビエンスマイクを同じ音量で定位させて、両方を、リミッターでバシバシに潰している。
ちょっと前に日本でも大流行した、過激コンプドラムの先駆けのような曲だ。

※このサウンドが、1971年当時、どれ程斬新だったか、同時代の他のレコードを聴けば分かる。
時代は、スタジオ内の音響も、どんどんデッドなサウンドへシフトしていっている時で、ドラムなども、できるだけタイトに録音することがトレンドの時代だった。
そんな中でツェッペリンは、明らかに時代に逆行していたのだ。

しかしそこには、彼らの何者にも左右されない確固たる意志と、時代を透徹した絶対の自信を感じる事が出来る。

続く『フォー・スティックス』は、その名の通り、ボンゾがスティック4本を使ってブレイした5拍子の曲だ。
因に、この曲では、マルチレコーダーのバリスピードを使って、キーを下げてボーカルを録音した後、ミックスの際に戻す事で、このようなハイトーンボーカルを実現していると思われる。
(この頃流行した技の一つ。クィーンや、エルトン・ジョンのレコードでも確認できる。)

そして、アルバムの最後を飾る、『ウェン・ザ・リビー・ブレイクス』。このドラムも圧巻だ。
このドラムは、滞在していたホテルの非常階段の踊り場で録った、という説もある。
(本当だとしたら、まさに、モービルユニットのお陰だ。)
充分に有り得るサウンドだ。明らかに人工的でない、長めのアンビエンスがその根拠だ。
これも、かなり深くリミッターが掛けられている。

※後日、真実が判明。このドラムサウンドは、ヘッドリー・グランジのホール?で録られ、離れた二本のアンビエンスマイクを強力にリミッティングし、ジミー・ペイジ所有のビンソンのエコーチェンバーが掛けられた。

※僕の耳もいい加減なもんだ。しかし、ビンソンのエコーチェンバーとは驚きだ。

ドラムといえば、ボンゾはいうまでも無く、26インチのバスドラを使っている。
実は、僕らは、この26インチのサウンドと言うものを随分研究してみた。
しかし結果は惨々たる物だった。まず、このデカイ生音に対応できる広い部屋が、絶対的に必要だという事。
狭いブースではとても無理だ。それと、ローエンドが死ぬほど出るので、最近のATM-25のような、ローがしっかり入るマイクなどは逆効果だ。ボンゾも、写真等を見ると、シュアーの細身のダイナミックマイクを使っている。型番は忘れたが、確か、SM57の前身機種だと思う。きっと57でも代用可能だと思うが、残念ながら試していない。
いずれにしても、レコードを聞く限り、相当、ローカットしているように思うのだがどうだろう?・・・

しかし、ボンゾのドラムは凄い。凄過ぎる。何もかもが凄い。彼の真価は、最近連発しているDVDで再確認できる。
いずれも、びっくりするほど音質が向上しているのだが、特にボンゾのドラムが飛び抜けて凄い。
プレイが凄いのは勿論だが、一個一個の音がとてつもなく素晴らしい。こんな音は誰も出せない。
ツェッペリンファンでなくとも必聴だ。

ドラム以外でも、一曲目の『ブラック・ドッグ』では、ギターをラインで直接卓に繋ぎ、卓のヘッドアンプで歪ませる、というビートルズ技を使っている。(レボルーションのギター参照) おまけに、ギターソロは、お得意のレズリー・スピーカー使用だが、これも、ビートルズの得意技だ。(ホワイル マイ ギター ジェントリー ウィープス、レット イット ビーその他。)
公式インタビューでは、余りビートルズは聞いていない、と言っていたジミーだが、相当に、この希代の天才グループを研究していたに違いない。

エンジニアらしい裏話としては、ボーカルのロバート・プラントのフェイバリット・マイクが、エレクトロボイスのRE-20というダイナミックマイクというところか。(ダイナミックの割には、かなりフラットな特性のマイクだ。)恐らく、強力過ぎる彼の声は、繊細なコンデンサーマイクでは、捉えきれなかったのだろう。
ただ、デビュー時に、既に最高点に達していたプラントの声は、このアルバムでは、僅かだが衰え始めている。彼の限界を知らぬ声は、サードアルバムが最後だ。

プラントに関しては、同じポジションだったこともあり、特別な思い入れがある。
(高校時代から、かなりコピーを試みたが、ドラムができないか、ボーカルの僕が出来ないかで、結局、なんとかコピーできたのは、ほんの二、三曲程度だった。)

この人は有る意味、物凄く過小評価されているのではないかと最近思うようになった。
ネットが登場して以来、様々な映像&サウンドを聞けるようになった。
ツェッペリンも決して多くはないが、かなり古い音源を聞く事が出来る。
特に、1970年頃のテイクにおけるプラントは、常人を遥かに逸脱している。とても同じ人間には思えない。

誰も、真似することさえ不可能だ。

パワーがある、ハイトーンが出る、だけなんかじゃない。プラントのボーカルは、いつも生きている。
普通、ボーカルというものはメロディーがある。主旋律というやつだ。もちろん、ツェッペリンにだってある。
しかし、プラントは、常に、その時の感情のままに唄い、叫ぶ。
簡単にいうが、なかなかこうは行かないもんなんだ。まるで、男版、ジャニスだ。

初期のツェッペリンが、デビューすると同時に伝説になった要因は、間違いなく、ボンゾの凄まじいパワードラムと、全く次元の違うプラントのボーカルによるものが大きかったとしか思えない。それまで、この二人の余りに常軌を逸したパワーを許容できるメンバーがいなかったのだ。・・ジミー・ペイジに出あうまでは。

この二人を発見した時の、ジミーの興奮が見えるようだ。

このアルバムに限らないが、ツェッペリンのレコードは、決して音が良いわけではない。これは所謂、ハイファイであるか? と言う意味においてだが。時代的に仕方ないこともあるが、定位も不安定で、決して、エンジニアリング的整合性のある物ではない。どちらかといえば、アレンジが進むにつれ、思いつきで決めていったように思える。言い換えれば、ひらめき重視というか。・・・・・あくまでも感覚優先というか。
そういう意味では、あくまでも、プロデューサー、ジミー・ペイジの主導の元にレコーディングされた様子が分かる。
ミックスにしても、バンド同様、その場のインスピレーションというか、アドリブ的プレイが随所に見える。
例えば、ノーエコーで始まったボーカルが、気付くと深いエコーに包まれていたり・・

3曲目の『ザ バトル オブ エバーモア』でも、後半、ボーカルにかかっている、ディレイリバーブ(一旦、ボーカルをディレイに送り、更にリバーブへ送る。)のバランスを、手動で自由に増減している。さらには、お得意の、パン飛ばしまくり技も、手動によるその場限りの技だ。

ツェッペリンにとっては、ミックスまで含めたセッションだったのだ。
その場の興奮、感動、そのものを封じ込める事こそが、ツェッペリンのレコーディングなのだ。

これこそが、僕の目指すべきレコーディングとなった。 まさにバイブルのようなレコードだ。

いずれにしても、ツェッペリンというバンドは捉えきれないバンドである。技術云々で語るなどおこがましいというか、彼らのサウンドは扇情的で、直接、脳のどこかを直撃する。理屈ではないのだ。こんなバンドはいない。

※去年、ようやく、亡くなったボンゾの息子ジェイソンを入れて、再結成ライブをしてくれたのは嬉しかった。ライブは予想以上に素晴らしかった。しかし、ジェイソンはジェイソンなのであって、決してボンゾにはなれない。
そんなことを受け入れるために、メンバーは27年もかかったのだ。

※偉大なり、ジョン・ボンゾ・ボーナム。1980年没。享年31歳。・・・・合掌
(げぇーっ、改めて若過ぎる死。デビューは19才。いかに早熟の天才だったかわかる。)

レッド・ツェッペリンというバンドは、ただのバンドではない。ロックそのものというか、ロックとは何か? と問われたら、躊躇無く、これこそがロックだ、と言えるバンドだ。

存在そのものというか、その全てに影響を受けたバンドなのだ。

エンジニアとして影響を受けた名盤シリーズ No-1

4月 08, 2008 in blog

今日もほんわかした春真っ盛りですな。明日は雨らしいけど。
今年も、花見に行けなかった。つーか、これまで一度も行った事ない。
(小学生の頃、花見の季節に家出した事はある。)

今日も、会社に来る途中、ゴザを抱えた若者集団を見た。
きっと行くんだろうな、花見。

そんなこととは全く関係ないが、いい加減機材の話にも飽きたので、ちょっと横へ置いといて(まだまだ続きますよー愛機シリーズ!!)、今度は好きなレコードの話でもすんベ、と思う。ただし、ただ好きなものでは限りないので、ここでは、エンジニアとして影響を受けた、つまり、サウンドのコピーを試みたりした事のあるレコードに限定したコーナーだ。

その栄えある一回目に紹介したいのはこれだ。

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No-1 Hall & Oates 『Big Bam Boom』 1984

アーティスト:  ホール&オーツ
プロデューサー: ホール&オーツ
ボブ・クリアマウンテン
エンジニア:   ボブ・クリアマウンテン
スタジオ:    パワーステーション(ニューヨーク)

このアルバムは、当時、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていたホール&オーツが1984年に発表したものだ。
この前年にエンジニアの仕事を始めていた僕は、日々、サウンドの研究に余念の無い頃だった。
ホール&オーツは、81年のビッグヒット、『キッス オン マイ リスト』で知り、その後ずっと注目していたグループだ。
フィラデルフィアサウンドをルーツに持ち、そこに、ニューヨーク的ジャジーさを加えた、都会的で洗練されたポップス感覚が支持されていた。

さて、そんな中、このアルバムは、当時これまた大注目されていたエンジニア、ボブ・クリアマウンテンが参加するという事で、期待は最高潮だった。お世話になっていた制作会社パパズミュージックのスタジオで初めて聞いた。まだ、LPレコードだった。
聞いた感想は、とにかく“カッチョエー”の一言だ。この頃僕は、エンジニアとして勉強の為に片っ端からレコードを聴き漁っていた。そんな中で、まさに教則盤としてピッタリだと思ったのが、このアルバムだ。

というのは、このアルバムには有りとあらゆるエフェクツテクニックが詰まっている。ド派手なサウンドメイクの塊なのだ。
この時代、まさにエフェクター時代、あるいはエンジニア花形時代といってもよく、出始めたばかりのデジタルディレイやデジタルリバーブ等のデジタルエフェクツをいかに使いこなすかがサウンドの鍵だったのだ。
もちろんそんなことより、もっと大事なサウンドの基本というものがあるのであるが、それに気付くのはもっと後の話だ。

一曲目からボブクリ節全開だ。リズムマシンに数種類のリバーブを掛け、サンプリングでリズムを構成しただけの曲だが、なにしろカッコよい。終わり際の、ボーカルに掛かったステレオディレイも、ダイナミックなボリューム操作で驚かされる。

ボブクリといえば、ボーカルに掛かった複雑なディレイと、非常に特徴的なドラムサウンドが印象的だ。
ドラムへのこだわりは相当なもので、スネアは、ボブクリ持参のものをドラマーに使わせていたほどだ。
(ラディックのスティールらしい。)
僕自身の印象は、何しろステレオ空間の使い方の上手い人だという事だ。ステレオに拡げるものと、モノラルで使うものの判断が、クリアで主張がある。その上で、左右だけでなく、上下、前後へサウンドを的確に配置していっている。ここの部分が、実は一番影響を受けた。ドラムとベースとボーカルのバランスが、とてつもなく素晴らしい。
それと、何といってもドラムサウンド処理のカッコ良さだ。
基本は、しっかりコンプレスした生音。とにかく音が良い。そして、この時代特有の強力なアンビエンス。アンビエンス自体はツェッペリンに代表されるように、特別新しい音ではない。
が、彼は、技術の粋を使って、それを洗練して見せた。オンマイクの音に、強力にコンプレスした上でノイズゲートで余韻をカットしたアンビエンスをプラス。この時代のストレートなビートと相まって、とてつもなくカッコよかった。もちろん世界中で流行りまくった。流行り過ぎて、今や誰も使わないのが悲しい。

このアルバムの中で 、特にエンジニアとして印象的な曲が、5曲目の『Some Things Are Better Left Unsaid』だ。

曲としては他に好きな曲があるのだが、とにかくサウンドが懲りまくっている。ディレイにリバーブにテープ逆回転リバーブ。極め付けが、曲の途中でリズムマシンから劇的に変わる生ドラムの凄まじいアンビエンスサウンドだ。

この時代を代表したパワーステーションスタジオそのもののサウンドだ。

※1980年代、ボブクリを初めとするスターエンジニア軍団を擁し、世界的な大ヒットアルバムを連発したパワーステーションスタジオも、やがて時代の変遷に呑み込まれ閉鎖の憂き目に遭う。・・・・まさに無常。
因に、当時のオーナー・エンジニア、トニー・ボンジョビィは、あのジョン・ボンジョビィの伯父で、若きジョンもスタジオで使いっぱしりをしていたらしい。

僕自身にとって、時代を代表するのみならず、エンジニアとしてスタートした頃の教科書のようなレコードなのだ。

僕の愛機シリーズ#16 BEHRINGER MDX2000

4月 06, 2008 in blog

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日々、レコーディング&編集に追われまくっておりましたが、何とか一段落尽きそうな今日この頃。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?

本日の昼食は、江戸町にある、群来軒。新しめの中華の名店だ。
群来軒は、去年か一昨年まで住吉にあった。自宅の近所なので、開店当時から通っていた。
なんでも、某有名ホテルのシェフの店ということで、当時から話題だった。
今日は、チャンポンだ。ここのチャンポン、いわゆるチャンポンとちょっと違う。
写真では少し分かり辛いが、とても、見た目がきれいなかわいらしいチャンポンだ。エビもイカもぷりぷりだ。
味も同様で、なんか上品で甘い。もちろん美味いけどね。・・好き嫌いが別れるかも?

さて、そんなわけで今日もまた、愛機シリーズ。前回に引き続き、コンプリミッターだ。

※自分でも、機材オタクぶりに辟易しそうだが、愛しているのだから仕方ない。(キモッ!)
まっ、好きな人には分かるこのディープなこの世界。日々、宅録とかバンド活動で悶々としている諸君に、何か、ヒントの一つにでもなれば、という気持ちで書いている。・・・・・・な〜んてね!

コンプには、大きく分けて二つの効能がある、と前回書いた。
cimg1001.JPG というより、本来一つだったのであるが、古い時代に作られたものの中に、偶然に生み出された効能がある。

一つ目は、いわゆる原音を出来るだけ変化させる事なく、レベル管理をしようというタイプ。本来目指すベき方向であるため、ほとんどの機種は、このタイプに属する。
二つ目は、積極的にサウンド変化を起こすタイプ。いわゆるビンテージ機材、と呼ばれる古い機種に多く見られる。よって、非常に高価か、もはや手に入らない。最近、そこら辺をシュミレイトしたものも登場しているが、やはりとても高価だ。

※僕はこの二番目のサウンドを持つコンプが欲しくたまらないのだが、そう簡単にはいかない 。
まず、このサウンドは強烈過ぎて、いつも使えるわけではない。劇薬なのだ。
たまーにしか必要のないものに、ヘタすりゃ数十万円から百万円超もの投資は出来ない。
しかも、PAにはほぼ使わない。
メーカーにしても、同じ理由で積極的には作れないんだろうな〜。10万円ぐらいで、ビンテージサウンドに特化したコンプを出してくれねーかなー・・熱望。

このBEHRINGER MDX2000は、いうまでも無く一つ目のタイプだ。

現在、ベリンガー というメーカーは、安価だが結構使えるメーカーとして、業界でも確固たる地位を築いている。しかし、うちが、このMDX2000を購入した15年前は誰も使っていなかった。つーか誰も知らなかった。

当時、コンプと言えば、PAでは、dbx160x、BSS DPR-402。スタジオでは、Urei 1176&1178、TUBE-TECH CL1Aあたりが定番だった。スタジオ定番はいうに及ばず、モノラルの160xでさえ、定価で120.000円もしたし、402に至っては、400.000円もする高価な機材だったのだ。

たしか、サンレコ(サウンド&レコーディングマガジン)に、大宣伝を打っていて、なんと定価98.000円。
(この頃から、本国設計、中国生産、というラインが一般化してきた。因にベリンガーはドイツメーカー。)

それにまんまと乗せられた僕が、ヒビノさんへお願いして、試聴機を取り寄せたと思う。

届いたMDX2000。まず、ルックスが良かった。分厚いアルミパネル。コネクターも金接点。電源ケーブルも中々の太さだった。 『これは期待できる。』

早速、当時使っていた、dbx160x、BSS DPR402、Drawmer DL-221、と共に、MDX2000を卓に立ち上げてサウンドチェックしてみた。因に、定価で160x=240.000円(ステレオ)、DPR402=400.000円、DL-221=198.000円。

値段だけでいえば、ぶっちぎりだった。ただ、当時でも50.000円ぐらいのものもあった。
要は、サウンドなのだ。

チェックの結果は、予想以上だった。どの機種をも大きく引き離してのぶっちぎりの一位だった。
もちろん、MDX2000がだ。

とにかく、音が良かった。とても自然で、掛かりも素直で、特に、2MIXマスターには、最適と思われた。

意外に悪かったのがDPR402だ。当時のPA業界では、物凄くステイタスの高い機材だったのだが、僕の感想は決して芳しく無い。まず、早く歪むし、コンプすると、ハイが鈍る。160xは、バカちょんで使いやすいのだが、一個しか音がない。221は、かなり良いが、2000に比べると、やはりハイが鈍る。

当然購入決定。しかし、実際に来たのは、それから3ヶ月後だった。さすが外人。

※この後、MDX2000は大ブレイクし、あっという間に業界に浸透した。同時に、それまで、高価なイメージのあったコンプ・メーカーは、こぞって低価格機を発表し始め、数年で50.000円を切るまでになった。
ベリンガーの功績だろう。

それから15年。どんな時も、僕の傍らにいたといっていい。PAのときも、レコーディングの時も。
恐らく数ある機材の中でも、最も使用頻度が高い機材だろう。

まさに愛機と呼ぶに相応しい活躍だ。これまで、入出力メーターが切れた以外はまったく故障知らず。
今もバリバリの現役だ。

このMDX2000。現在、MDX2200となり、価格も、20.000円を切る程になってる。

がしかし、これは外見は似ているが 、全く中身は違う。別物といっていい。
価格以上の差があるといってもいい。

未確認裏話がある。

dbx162SLが来た時、いつものように、スタジオにある全コンプを卓に立ち上げて、サウンドを比較した時の事。
162SLと、そっくりのサウンドを持つものがあった。・・・・・・MDX2000だ。

勿論、音質には差がある。そっくりだったのは、コンプの掛かり方だ。ほぼ同じといっていい。

噂を思い出した。かつて、ベリンガーは、dbxのVCAをパクってコンプを作っていたと言う噂を。
そして、訴えられ、敗訴したと。

VCAとは、コンプの心臓部だ。MDX2000の音が、パクった事を証明していた。

当然だが、現在のベリンガーのコンプの音は全く違う。

そんなこともあり、ちょっと複雑だが、我が社への貢献度は計り知れないのが、MDX2000だ。

しかし、コンプを知らない人に、コンプのサウンドを説明する事ほど難しいものはない。
特に、今どきの、いきなりDAWから入る若者たちにとっては、 かなりの難関だと思う。
(コンパクトエフェクターを持っている人は、そこから始めると分かりやすい。掛かりがエグイからね。)

が、これほどサウンド全体に影響ある機材もない。がんばって体得して下さい。

僕の愛機シリーズ#15 dbx162SL

4月 03, 2008 in blog

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4月も3日になって、ようやく春が戻ってきたようだ。桜も、ほぼ満開。こんな日は、どっか遠出でもしてのんびりしたいのだが、ありがたい事に今日も仕事だ。

さて、本日は久しぶりの愛機シリーズ。今日のゲストは、最も古くからあり、今また流行の最前線にある機材であり、最もシンプルでありながら、同時に使いこなす事が困難な機材。

コンプ・リミッターだ。

こいつは一体何者かというと、その名の通りの働きをする。つまり、コンプレス(圧縮)して、リミッティング(制限)する。その昔、レコードをカッティングする際、レコードに入るように、ダイナミックレンジを抑制する為に生み出された機材だと思われる。(僕の推測)

つまり、レベルコントロールこそが、第一の効能なのだ。

実際、スタジオやPAにおいてのコンプリミッター の使い道というのは、

1. ボーカル、ベース、アコギ等のリミッターとして。

2. ドラムサウンドの引き締め及び、リミッティングとして。

3. 2MIXマスターリミッターとして。

おおまかに言うとこんなもんだ。しかも、機械とは面白いもんで、様々な副作用を伴っている。

例えば、レベルを揃えた上で、アタックを出したり。アタックを出した上で、音の余韻を引き締めたり、持ち上げたり、伸ばしたり、と、今や、一万円台で手軽に手に入るコンプですら、このような技を持つ。

がしかし、マスターリミッターはそうはいかない。なんといってもマスターというぐらいだ。下っ端ではいかんのだ。
僕も、随分、この分野は頭を痛めてきた。このスタジオがオープンしたのが15年前。マスターテープは、DATだった。
デジタルなので天井がある。それこそ0.1db単位でレベルを追いつめたものだ。今みたいに、L3に放り込んで終わり、と言うわけにはいかない。

当時は、心の底から思った。サウンドを極く自然にコンプレスした上で、マッシブに引き締めてくれ、そして、ぐいっと押し出した後、壁のようにびしっとレベルをストップしてくれるリミッターを俺にくれー!!!・・・っと。

それがあった。これ、dbx162SLだ。

見てくれ、この高級感溢れるルックス。分厚いアルミが惜しげも無く使われ、音がいいのが顔に現れている。ツマミの動きのスムースさなんざ、まさに快感ばい。
大体、ルックスがカッチョいーと、音もカッチョいーのが、この業界の常識だ。

ちょっと前まで、dbxのコンプはつまんなかった。ところがこいつの素晴らしさはどうだ。一体何がdbxに起こったのか?と思わせるほどだ。こいつは有る意味、これまで出会ったアナログコンプの中で、最も、うちに合うコンプだ。PAにも良し。レコーディングも、録りにも良し、ミックスにも良し、何といってもマスターリミッターとして、とっても良いのだ。つまり、一粒で、何度でも美味しいのだ。こんな機材こそ、貧乏な地方のスタジオにはありがたいのだ。

素晴らしいぞ!! dbx!!

コンプにおいて、安物と高級品との差は、音質が違う、というのは当然として、最も分かりやすい差は、安物は、コンプすると音が引っ込み遠のく。高級品は、ぐぐっと前に押しでてくる。

しかし、この効能は、基本的に、原音を損なわない事が原則である。その変化幅は、概ね、地味だ。

ところがコンプにはもう一つ、素晴らしい効能がある。通すことで変化するサウンド。あるいは、過剰に使用する事で、原形をとどめないぐらいに潰れていきながらも、何故か活き活きとするサウンド。

つまり、音をより積極的に、アグレッシブに変化させるエフェクターとしての効能だ。

実は、これこそが、魔法のロックサウンドなのだ
誰かが気付いたんだろうな〜。ある日、ドラムを録っていて、エンジニアがオーバー入力してしまった 。『しまった、どじっちまった。』ところが、誰かが言うのだ。『カッケーじゃん! このサウンド!!』

※例えば、ビートルズのマジカルミステリーツァー収録の“アイ・アム・ザ・ウォルラス”の、ジョンのボーカル!!!
あの張り付き感。例えば、ツェッペリンのミスティマウンテンホップの嵐のようなドラムサウンド。あのサウンドに、どれだけのアーティストがインスパイヤされた事か!

※オーマイガッ!! 二人ともジョンだ!!!

大体、カッチョいーものは失敗から生まれる。

ところがだ。このコンプ、僕らが普通に手に入れる事の出来るレベル(価格)では、そのカッケーサウンドは出ない。
自信を持って言い切ってしまおう。出ない。この仕事を初めて25年、コンプを研究し始めて、優に20年にはなる。のに、出ない。どんな設定にしても、どんなにいじくり倒しても、はたまた、お祈りしても、・・・出ない。

こいつらではジョンの張り付くような、ひりつくようなサウンドは出ない。掟破りの直列数珠繋ぎなんぞをやれば、近い事は近い。しかし違う。

で、こいつ、dbx162SLはどうなんだ? と言う話ですな。

残念! なことにこいつでも、そんなサウンドは出ない。タイプが違うのじゃ。

こいつは、音質が良い、ゆえに、音は変化しないのじゃー。

当たり前だが、万能機なんてないのだ。

宝くじしかないのか ?

神様ー、お願いだー、俺に、フェアチャイルドと、Urei 1176×2と、Distresso-B.I.O×2をくれー!!!

新開君。

4月 01, 2008 in blog

すっかり暖かくなって、ようやくパッチともおさらばできた、と思ったら、ここんとこまた寒くなった。花冷え、というのだそうだ。年取ると体内が燃えないから、寒さにはとことん弱い。頭の方も、若干、寒々しくなりつつある昨今、久々の更新だす。(3月に入ると、本当に忙しい。ありがたいことです。)

昨日、新開君から電話を貰った。新開君というのは、先日、ここでも書いた、『四郎外伝』という僕の舞台に出演してくれた若者だ 。僕よりも、随分年下ではあるが、何かと話が合う、気の置けないヤツなのだ。
その新開君、現在大分県で小学校の先生をやっているのだが、長崎時代の教え子が卒業するので、ぜひ会いたいというラブコールに応えて、急きょ大分から愛車をぶっ飛ばして来た、というのが、急な来崎の理由らしい。熱いヤツらしい話だ。

で、夜、これまた気の置けない後輩のひろし君が経営する居酒屋“お気楽倉庫”で飲む事になった。

元気よく入ってきた新開君、確か5年ぶりぐらいだが、ほぼそのままだ。たいして太ってもいないし、痩せてもいない。デカイ鼻の穴も健在だ。普通、鼻の穴がデカイと、がっぽり稼いで、がっぽり使う、という相だという。永ちゃん(矢沢)を見よ、サブちゃん(北島)を見よ。だが、彼には、その予兆はまだ無い。

いやー盛り上がった盛り上がった。久々に酔った。ヤツは、役者もやるが、ミュージシャンでもある。因にドラマーだ。しかも、お互いに、Zeppelinフリークだ。大学時代、今どき珍しくZeppelinのカバーバンドをやっていたくらいだ。 こうなると話は止まらんね。音楽の話から、舞台や映画の話、その他諸々・・・・・・

彼がまだ長崎にいた頃、僕の中で暖めていた企画があった。映画を創る、という企画だ。
話しながら、まだ捨てる必要はないな〜と感じた。

話は尽きなかったが、また、今年の夏の再会を約束して別れた。